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AI Lab プロジェクト医療×AIの発展にご協力いただける方を募集しています

日本でも遂に始動! 内視鏡診断支援AIが医療現場に―轟・加藤の「医療AI トレンドを追う」(1)

2019年5月17日(金)

アイリス株式会社AIエンジニアの轟佳大氏が、眼科専門医でデジタルハリウッド大学大学院客員教授の加藤浩晃氏と共に、企業や大学における医療AI開発の取り組みを紹介する連載コラムです。取り上げてほしいテーマや質問事項、記事の感想などございましたら、「m3com-editors@m3.com」までメールをお送りください。

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ななめ読み
- AI搭載医療機器「EndoBRAIN」 が発売開始。
- 内視鏡で取得した画像からAIが大腸がんかどうかを判定。
- 2013年から研究を始め、2018年12月に薬事承認を取得。


エムスリー会員の皆様、はじめまして。今回から連載企画を担当いたします、エンジニアの轟佳大です。今春からAI医療機器を開発するスタートアップ「アイリス株式会社」にてAIエンジニアとして働いています。昨年度までは立命館大学大学院で、「AIを用いてCT画像から肝臓腫瘍候補を自動検出する研究」を行っていました。昨年、一般公開した「AI×医用画像の現状と可能性」というスライドが話題になり、今回、このシリーズの連載を引き受けることになりました。これからよろしくお願いします。

第1回目のテーマは、2018年末にAI医療機器業界で話題となった大ニュースです! 2018年12月6日に、AIを搭載した大腸内視鏡診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN」が医療機器承認を取得し、2019年2月25日には、このソフトウェアが組み込まれた医療機器「EndoBRAIN」をオリンパス株式会社が発売すると発表したのです。

EndoBRAINは、オリンパス株式会社が開発した超拡大内視鏡「Endocyto」にて取得した画像から大腸がんをAIで判断する機器です。腫瘍性か非腫瘍性を判別する精度は感度96.9%、正診率98.0%と非常に高く、AIを学習させるために使用した内視鏡画像の枚数は9万6670枚とのことです。

このEndoBRAINはサイバネットシステム株式会社と昭和大学、名古屋大学が共同で開発し、サイバネットシステム株式会社とオリンパス株式会社が協業して医療現場へと届けられます。

いかがだったでしょうか。私はAIを搭載した医療機器はこれまでの医療機器(CTやMRI、内視鏡など)と同様に、医師の目を補助する機器として患者の健康を支えてくれる存在になっていくと考えています。そして医師の目の補助だけでなく、経験に委ねていた「病気を特定する」という工程に、数学的切り口を用いた先入観のない高度な特定を行う唯一無二のサポート役になっていくと期待しており、またそういう機器を作りたいと思っています。そのような世界の実現に向けて、この連載では企業や大学における医療AI開発の取り組みについて取り上げていきます。次回もお楽しみに!

轟佳大

轟佳大

アイリス株式会社 AIエンジニア。1992年生まれ、立命館大学大学院 情報理工学研究科修了。大学・大学院を通して医療AIの研究を行い、大学院在学中にはシンガポール国立情報研究所にて医療AIの研究に従事。最新論文は医工学分野のトップカンファレンスに採択された。研究や仕事の傍ら、医学生や医師、社会人向けに医療AIの講演などを行っており、スライド「AI×医用画像の現状と可能性」(http://ur0.work/SfKm)は1万viewを超える。医療と最新テクノロジーとアイスが好き。

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