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過敏性腸症候群の疼痛制御機器、FDAで初承認

2019年7月16日(火)

米食品医薬品局(FDA)のNews Releaseから、IT、ゲノム医療などテクノロジーに関連する情報をピックアップしてお伝えします。

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FDAは、過敏性腸症候群(IBD)による腹痛を軽減させる初の医療機器の販売を許可した。この医療機器は、11歳から18歳までの患者に対し、他の治療法と共に使用される。

「IB-Stim」と呼ばれるこの装置は小さな使い捨ての電気刺激装置で、患者の耳の後ろに装着する形で使われる。電池式のチップが組み込まれており、ここから低周波の電流が流れることで特定の神経領域を刺激し続ける。患者は最長3週間連続してこの装置を使い続けることができ、この刺激により過敏性腸症候群に伴う腹痛を軽減することが可能だ。

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研究グループは11歳から18歳までの過敏性腸症候群を患う50人の患者(IB-Stim使用群27人、プラセボ群23人)のデータを用い、解析を行った。実験開始日から実験最終日までの3週間において、最もひどい腹痛と平常時の腹痛、およびその頻度の重症度と期間(PFSD)を測定した結果、測定開始日から第3週にかけて、機器使用者の間で測定値に大きな改善が見られた。より大きな改善は第3週のPFSDスコア数値に現れた。

IB‐Stim使用グループの52%において、通常の痛みは少なくとも30%軽減するという結果が得られた。また、最も強い痛みにおいてもIB-Stim使用グループでは59%の患者に少なくとも30%の軽減が見られた。一方、プラセボグループでは26%の患者にしか軽減が見られなかった。この研究が行われている間、6人の患者が軽い耳への不快感を示し、3人が機器に触れた耳の部分にアレルギー症状を見せた。

「この医療機器は、過敏性腸症候群からくる痛みに苦しむ思春期の子供のための安全な治療法を提供する」と、FDA医療機器・放射線保健センター内にある神経理学療法局のディレクターのカルロス・ペナ博士は述べる。「今回の認可は、小児医療機器の開発が進むことに対する我々の継続した努力の成果である。これにより子供や青少年らは、彼らが必要とする安全で効果的な医療機器を利用することができるだろう」。

荒川友加理

荒川友加理

1980年、石川県生まれ。イギリス、エセックス大学で言語学を学んだあと、英会話講師に。幼児から大人までの英語教育に従事しながら翻訳の仕事も行う。翻訳分野は日本の旅館やホテルのウェブサイト翻訳、ダイバーシティー&インクルージョンにフォーカスしたニュース記事翻訳、企業のウェブサイトや会社案内動画の字幕吹き替え翻訳など。