米食品医薬品局(FDA)のNews Releaseから、IT、ゲノム医療などテクノロジーに関連する情報をピックアップしてお伝えします。
FDAは5月24日、2歳未満の小児の脊髄性筋萎縮症(SMA)治療を目的とした遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」を承認した。SMAはSMN1遺伝子の変異によって引き起こされる、死亡率の高い遺伝病だ。
その承認後、FDAは、メーカーであるアベクシス(スイス・ノバルティスが買収した米国企業)から生物製剤承認申請(BLA)に提出された動物実験の一部で、データ操作が行われていたという報告を受けたと発表した。
FDAはこの報告を慎重に検討し、ゾルゲンスマの販売継続を承認すると判断した。提出された膨大な資料を再検討したところ、製品の有効性と安全性を証明するエビデンス全体は総じて高く、操作は製品試験データに含まれるごく一部のものだと判明したためだという。
FDAはまた、アベクシスが承認前に生物製剤承認申請(BLA)でデータ操作が行われていたことを把握しながらも、製品が承認されるまでFDAに対する報告を怠ったことを把握している。このことについて、民事上・刑事上における制裁措置を取る可能性がある。
FDAが査定する承認申請において、完全かつ正確な情報を提供することはメーカーの義務である。製品の安全性や有効性を証明する上でそのようなデータの提出は重要であり、また法律でも定められていることだとメーカーに注意を呼びかけている。
ゾルゲンスマに関して医療従事者は作用だけでなく副作用も把握するべきだ。ゾルゲンスマは嘔吐および深刻な急性肝臓障害を引き起こす可能性があり、FDAは、投与の際、添付文書を参照することを勧めている。
荒川友加理
1980年、石川県生まれ。イギリス、エセックス大学で言語学を学んだあと、英会話講師に。幼児から大人までの英語教育に従事しながら翻訳の仕事も行う。翻訳分野は日本の旅館やホテルのウェブサイト翻訳、ダイバーシティー&インクルージョンにフォーカスしたニュース記事翻訳、企業のウェブサイトや会社案内動画の字幕吹き替え翻訳など。