マルタ大学健康科学部教授のアルフレッド・ガット氏らの研究グループはこのたび、サーモグラフィー画像が関節リウマチ(RA)の状態を評価する上で重要な方法になり得ることを発表した。この研究成果は2019年11月25日、『Scientific Reports』に掲載された。
RAは英国で40万人以上の成人に影響を与えている。RAで進行する滑膜炎をリアルタイムに検出することは、疾病管理を厳密に行うために非常に重要である。 しかし、RAのリアルタイム診断は難しい。
研究グループはこのたび、82人(RA患者:31人、健常者:51人)の被験者を対象に、サーモグラフィーを用いて手指の温度変化を測定した。その結果、健常者の手のひら領域の平均温度は29.37°C、指領域の平均温度は27.16°Cであったことに対し、RA患者群では、手のひら領域が31.4°C、指領域が30.22°Cと高く、平均温度に有意差があることが判明した。
一方、リウマチ専門医による関節超音波検査では、RA患者群と対象群との間に有意な変化は検出されず、手と手首に滑膜炎の活発な兆候がないことが確認された。つまりRAは、本来の炎症プロセスが消失した後も不可逆的な熱変化を持続させている可能性があると考えられるのだ。
今回の成果について研究グループは、「我々の結果は、活発な滑膜炎がなくともRA患者の手指は健常者と比べてより高い温度を示すことを明らかにした。熱画像をもとにした研究は医学の新しい技術であり、病気のプロセスを明らかにする重要な臨床ツールになる可能性がある」と述べる。
荒川友加理
1980年、石川県生まれ。イギリス、エセックス大学で言語学を学んだあと、英会話講師に。幼児から大人までの英語教育に従事しながら翻訳の仕事も行う。翻訳分野は日本の旅館やホテルのウェブサイト翻訳、ダイバーシティー&インクルージョンにフォーカスしたニュース記事翻訳、企業のウェブサイトや会社案内動画の字幕吹き替え翻訳など。