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CT・MRI画像をAIが診断支援、日本医学放射線学会がDB構築し開発支援

2019年4月15日(月)

日本医療研究開発機構(AMED)が2019年4月7日に開催した「平成30年度臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業成果報告会」のレポートです。

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日本医療研究開発機構(AMED)が4月7日に開催した「平成30年度臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業成果報告会」で、国立国際医療研究センター国府台病院放射線科診療科長の待鳥詔洋氏が登壇し、放射線画像の収集とAI診断支援システム開発に向けた日本医学放射線学会の取り組みを紹介した。

まず待鳥氏は放射線科をめぐる現状について説明。CT、MRIの検査件数は年々増加し、読影する画像枚数は増えているが、読影を担う放射線専門医が足りていない。また、情報量の増加や診療の高度化・専門化が進んだこと、マンパワーの不足などで画像診断レポートの医師の確認不足が問題になっている。

そこで同学会では、検査のオーダー、撮影、診断を一気通貫して向上させるために、Japan Safe Radiology という概念を提唱しており、画像診断ナショナルデータベース(JMID)の構築を進めている。具体的には、放射線画像とそれに付随した読影レポートを収集。一般に放射線画像は全国的にほぼデジタル化されており、また画像フォーマットもDICOM規格として標準化されている。また、画像情報には読影レポートが付随しているなど、他の診療領域と比べて画像データのデジタル化と標準化が進んでいる。同学会では、今年3月時点で放射線画像11万6870枚、画像診断レポート16万3000枚を収集したという。

学会として画像診断支援AI開発を支援

同学会の画像診断ナショナルデータベースは、収集したデータを教師データとして機械学習することで画像診断支援AIの開発に生かすのが狙いだ。放射線画像の診断レポートでは所見・診断のフォーマットは標準化されているが、病変の座標情報等まだ未整備の情報もある。そこで、同学会では教師データ規格のための標準化を日本画像医療システム工業会(JIRA)と連携して検討を進めているという。

また、データベースを活用した画像診断支援AIシステムの製品化に向け、メーカーや業界団体とも連携して進めている。同学会のデータベース構築に参加する順天堂大学などの7大学、国立国際医療研究センターが、AIを開発するメーカーと共同研究を行い、データの提供や試行などで協力をしていく。

待鳥氏は日本医学放射線学会のAI技術研究開発に対する考え方として「学会としてこれらのシステムが、迅速・安全に医療に導入されることを支援する」とした上で、その開発に当たってはより医療現場のニーズを反映した開発が求められているとした。

長倉克枝

長倉克枝 m3.com編集部