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専門医以外も皮膚疾患を判断、AI開発へ、日本皮膚科学会

2019年4月16日(火)

日本医療研究開発機構(AMED)が2019年4月7日に開催した「平成30年度臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業成果報告会」のレポートです。

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日本医療研究開発機構(AMED)が4月7日に開催した「平成30年度臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業成果報告会」に大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教授の藤本学氏が登壇し、日本皮膚科学会が進める皮膚疾患画像のデータベース構築と、診断支援AI開発の取り組みを紹介した。

同学会では皮膚疾患画像ナショナルデータベース構築のため、15大学病院皮膚科を画像収集拠点として、皮膚病変の画像を昨年から収集している。約半年で診断付きの皮膚病変画像18万枚を収集。構築した皮膚疾患画像ナショナルデータベースを活用し、皮膚科以外の医師にも診断支援のニーズが高い皮膚がん、救急疾患、全身性疾患について、AI画像診断支援システムを開発していく計画だ。

こうした同学会の取り組みについて、皮膚病変から診断名を提案する皮膚疾患の診断支援AIは、「あらゆる診療科の医師に有用だ。かかりつけ医やへき地医療、在宅医療、介護施設、救急医療、夜間・休日などでは皮膚科医がいない状況がある。そこでAI活用を活用して、皮膚科医と効率的な連携をしていける」と藤本氏は狙いを説明した。

皮膚腫瘍の診断支援AI開発については、昨年、藤本氏(当時は筑波大学教授)は、京セラコミュニケーションシステムと共同研究で皮膚病変の画像から皮膚腫瘍の良性と悪性を判定するAIを開発し、論文を発表した(『皮膚臨床画像から専門医よりも精度よく疾患判別―筑波大皮膚科・藤本学教授、藤澤康弘准教授に聞く(1)』『オールジャパンで皮膚画像を収集―筑波大皮膚科・藤本学教授、藤澤康弘准教授に聞く(2)』を参照)。今後は臨床現場での実用化に向け、携帯端末を使い診断支援をするプロトタイプの開発を経て、診断支援AIの臨床試験を進める計画という。

また、皮膚病変の臨床マクロ画像だけでなく、拡大鏡によるダーモスコピー画像、皮膚病理組織など、複数の画像診断支援AIを統合したシステムの開発も進めていくとした。

長倉克枝

長倉克枝 m3.com編集部