AIに関連する医学論文をご紹介します。
臨床研究では、機械学習は不可欠なツールになりつつあるようだ。1月31日にnpj Digital Medicineに公開された「The National Institutes of Health funding for clinical research applying machine learning techniques in 2017」では、2017年度に米国立衛生研究所(NIH)が研究費を提供した臨床研究プロジェクトを調べたところ、535件のプロジェクトで機械学習を用いており、NIHの臨床研究予算の2%に当たる2億6400万ドルの資金提供があったという。
機械学習では、大量のデータからパターンを認識して予測を行う。電子カルテやレセプト、患者レジストリなどの医療データの分析に機械学習を適用することで、臨床研究などへの活用が期待されている。NIHでも機械学習の活用に向けたワークショップや講座を開催してきた。
米国のYale-New Haven Hospitalの研究グループは、2017年度にNIHが研究資金を提供した1960の研究プロジェクトの中から、機械学習を用いたプロジェクトを選定した結果、535件のプロジェクトが該当し、これらの合計予算は2億6400万ドルだった。研究資金の中央値は34万7944ドルで最大額は1256万ドル。研究助成を受けた機関はNational Cancer Institute、National Institute of Mental Health、National Institute on Agingなど26のNIHの組織の他、スタンフォード大学、ピッツバーグ大学、北カリフォルニア大学などが多かった。
最後に研究グループは、NIHでは機械学習を用いたプロジェクトの支援を行っている一方で、トレーニングとキャリア開発のための資金提供がほとんど行われていないことを指摘したうえで、今後機械学習を臨床研究でさらに活用していくためには、研究者のトレーニングなどのサポートが必要だとまとめている。
長倉克枝 m3.com編集部