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阪大病院「AI基盤拠点病院」を推進―「AIホスピタル」成果発表シンポジウム2019開催レポート

2019年11月14日(木)

2019年11月11日に日本医師会で開催された、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の成果発表シンポジウムの開催レポートです。

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11月11日に日本医師会で開催された内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の成果発表シンポジウムで、大阪大学医学部附属病院長の木村正氏が登壇し、同病院が推進する「AI基盤拠点病院」構想について紹介した。同病院内のほか連携19病院と医療データを統合し、解析するプラットフォームを形成する計画で、木村氏は「最も気にしたのが個人情報の取り扱い」と話した(医療維新『「AIホスピタル」慶應大・阪大など4病院で実装』を参照)。

大阪府下の19中核病院と連携、医療データを統合・解析へ

阪大病院はSIPのプログラムの一環としてAI医療を実装するAIホスピタルモデル病院を推進する一方で、同病院独自のAI基盤拠点病院構想を進めている。推進に向け、来年度にも同病院の改修と新棟を設立する計画。

同構想では、大阪府下の中核病院をつなぐ医療機関のネットワークである大阪臨床研究ネットワーク(OCR-net)連携19病院と連携して、医療データを阪大病院内のAIデータセンターに集約、統合データウェアハウス(DWH)を構築する。このデータベースから阪大サイバーメディアセンターに設置されてあるディープラーニング用のスーパーコンピュータに接続し、データ解析を行う。

阪大病院内では、各診療部門とAIデータセンターの間をつなぐAI医療センターを設置。同センターでは病院業務効率化のAIシステム開発を担うほか、臨床実装に向けた評価等も行う。こうした膨大な医療データを統合して集約、解析するにあたり、「最も気にしたのが個人情報」(木村氏)といい、患者の同意取得のフォーマットの作成などを進め、12月には倫理委員会に倫理審査を申請、今年度内に運用を始める計画だ。

音声入力で救急や外来を補助

AIホスピタルの事業としては、企業と連携してサブテーマに沿って推進している(サブテーマは『「AIなしでは医療は難しくなっていく」―「AIホスピタル」成果発表シンポジウム2019開催レポート』を参照)。たとえば、TXP Medicalとの連携では、音声入力システムを11月から高度救命救急センターに実装、口頭指示の記録や情報集約化をはかる。音声入力システムは外来業務効率化に向け、10月から音声入力での電子カルテの作成などに活用していく。また日本ユニシスとの連携では、患者・家族の理解度や納得度に応じたインフォームド・コンセントの実現を目指すシステムの開発を進める。マイクとカメラからの取得した情報を用いた、同社の感情推定技術を活用し、患者・家族の理解度や納得感をモニターできるようにする計画。

長倉克枝

長倉克枝 m3.com編集部