2019年9月13〜15日に名古屋市で開催された第67回日本心臓病学会学術集会の開催レポートです。
9月13〜15日に名古屋市で開催された第67回日本心臓病学会学術集会で13日、会長特別企画「これからの遠隔医療と遠隔診療」に大阪大学国際医工情報センター特任教授の麻野井英次氏が登壇し、心不全悪化を在宅でモニタリングする手法を紹介した。ベッドに敷いたセンサーで呼吸数の変化を計測する手法で、心不全悪化での入院前に早期検出と介入が可能として、9月から多施設で医師主導治験を開始した。
慢性心不全患者は、入院が必要な重症化するたびに予後が悪くなるため、重症化する前に早期検出と早期介入が必要だ。在宅で心不全増悪を早期検出する必要があるが、肺動脈圧を直接モニタリングする方法ではデバイスが高価だったり患者にとって使い勝手が悪かったりして普及していない。簡便で使いやすいモニタリング手法の開発が課題となっている。一方、肺動脈圧の変化によって呼吸が乱れることがわかっており、不安定呼吸を数値化することで、心不全悪化をモニタリングできる可能性がある。
そこで麻野氏らは、睡眠時に呼吸安定時間(RST)をモニタリングする、ベッドに敷くタイプのシートセンサーを開発し、収集したデータをスマートフォンを介して自動的に医療機関で表示できるようにした。慢性心不全患者に実際に使ってもらい、確認したところ、1分間あたりの呼吸数が20回以下になるとその後心不全が増悪し、入院する傾向がわかったという。
「在宅心不全患者の入院を回避する革新的ICT遠隔モニタリング環境の有用性の検証」として9月から在宅心不全全国6施設で医師主導治験を実施中という。
長倉克枝 m3.com編集部