大腸がんは、2020年に米国で5万3000人を超える死者を出すと推定されており、がんの中では2番目に多い死因となっている。しかし、死亡率は着実に低下している。それは、おそらく大腸内視鏡検査などのより優れたがんスクリーニングプログラムがあるからだ。大腸内視鏡検査の際、臨床医は大腸ポリープを切除し、その検体を組織病理学スライドで視覚的に検査する。発見されたポリープの数と種類から、将来、悪性化する危険性を推測できる可能性がある。
大腸ポリープを自動分類するためのAIモデルは、効率、再現性、および精度の向上により、がんスクリーニングプログラムに利益をもたらす可能性がある。そこで、ダートマス・ヒッチコック・ノリス・コットンがんセンターのサイード・ハッサンプール博士が率いる研究グループは、大腸ポリープを自動分類するためのディープニューラルネットワークを開発した。
研究グループはまず、ダートマス・ヒッチコック・メディカルセンターからの大腸ポリープのデータを用いてディープニューラルネットワークをトレーニングした。その後、米国の24の異なる施設から集められた238枚のスライドにおいて、分類の感度と精度を確認した。その結果、このモデルは、現役の専門医に比肩するレベルで大腸ポリープを4つの主要なタイプに区別できるだけでなく、単一機関からのデータを使用して設計したモデルにもかかわらず、外部施設のデータでも高い精度を達成できることを証明した。これらの調査結果は、『JAMA Network Open』に掲載された。
ハッサンプール博士は今回の成果について次のように語る。「我々の研究は、複数の外部医療センターからのデータに一般化できるディープニューラルネットワークを作成できた最初の例となった。医療画像分析のディープラーニング分野における課題は、広範なデータの収集である。24の異なる機関からの組織病理学スライドを分類できたことは、トレーニングするAIモデルが広く一般化可能であることを示すことにつながった」。
荒川友加理
1980年、石川県生まれ。イギリス、エセックス大学で言語学を学んだあと、英会話講師に。幼児から大人までの英語教育に従事しながら翻訳の仕事も行う。翻訳分野は日本の旅館やホテルのウェブサイト翻訳、ダイバーシティー&インクルージョンにフォーカスしたニュース記事翻訳、企業のウェブサイトや会社案内動画の字幕吹き替え翻訳など。