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「クラウドで遠隔画像診断」「病理画像診断をAIで」AI活用イベントが開催

2019年5月3日(金)

日本経済新聞社主催でAI活用をテーマにしたカンファレンス「AI/SUM APPLIED AI SUMMIT AIと人・産業の共進化」が2019年4月22日から24日の日程で東京・丸の内で開催された。講演とブース展示が行われ、医療系でも遠隔画像診断をクラウドで提供する株式会社エムネスと、病理画像診断のメドメイン株式会社の2社がブースを出展した。

医療支援クラウドサービス「LOOKREC」を展開するエムネス

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エムネスの「LOOKREC」

2000年に創業した株式会社エムネスは、放射線科医が常勤していない、あるいは不足している施設向けに、専門医による遠隔画像診断サービスを提供している会社(『医療画像をクラウドで管理、AIにつなげる―エムネス代表取締役社長・北村直幸氏』『「AIは画像診断の“第四の技術革新”」』を参照)。

エムネスは2014年7月から医療支援クラウドサービス「LOOKREC(ルックレック)」を運用しており、遠隔画像診断サービスもこの上で提供されている。「LOOKREC」を使うことで、医療機関側はウェブブラウザ上で画像診断の依頼をしたり、検査画像を確認したり、診断書を参照することができる。クラウドにはGoogle CLoud Platformを用いている。費用は月々のサービス基本料と、1症例ごとの読影料単位。病理画像にも対応している。

東京大学発ベンチャーのエルピクセルとも共同で開発を進めており、LOOKREC上の検査画像データから脳動脈瘤、肺結節、肝臓ガンを解析するアルゴリズムを開発している。当初は発見精度は低かったが、結果を学習させるための評価システムを導入したところ、85%から90%に精度が向上したという。

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自動で報告書も作成してくれる

病理画像診断ソフトウェア「Pidport」を展開するメドメイン株式会社

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メドメイン「Pidport」

2018年1月に創業したメドメイン株式会社は生検で採取した細胞組織を顕鏡観察して疾患の有無を判断する病理診断を自動化するソフトウェア「PidPort(ピッドポート)」を展開している。「PidPort」はディープラーニングを使った画像処理によって、画像をアップロードし、解析ボタンを押すだけで1分間で病理診断を行う。現在は胃と大腸の疾患に対応している。今後、他の臓器や疾患にも対応予定。

国内外の病院や大学と共同研究を進めているが、まずは海外から事業化していく予定で、その後、国内でも認可を取る予定だという。

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国内外の大学病院と共同開発中

森山和道

森山和道 サイエンスライター

サイエンスライター、科学書の書評屋。1970年生。広島大学理学部地質学科卒。NHKディレクターを経て現職。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。