窪田製薬ホールディングスは、以前より米国子会社のクボタビジョン・インクが開発している遠隔医療用の「超小型OCT」機器の量産型試作機が完成したと発表した。
網膜の中でも視力を司る黄斑部の腫れなどの変性は、通常、医療施設で精密な断層像を得られる据置型光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)を使って検査する。同社が開発している「PBOS」(Patient Based Ophthalmology Suite)は、このOCTの機能を必要最小限に絞ることで小型化・軽量化、さらにネットワーク機能を持たせることで、患者自身が自宅で網膜の状態を検査できるというものだ。
同社では、重度の網膜疾患においては、高価な薬剤を1ヵ月あるいは2ヵ月ごとに繰り返し眼内注射で投与することが多く、最適なタイミングでの治療の実現が課題になっていることから、ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患の患者が、在宅、あるいは遠隔で網膜の状態を測定できるデバイスとして「PBOS」を開発しているという。インターネットを介し網膜の構造変化といった病状の経過を、医師が遠隔で診断できるシステムを確立することで、個々の患者に最適な眼科治療を実現することを目指している。
2018年、米国で実施した臨床試験において良好な結果が得られたことから(既報)、同社では実用化に向け研究開発を加速させており、今回の試作機完成となった。今後はさらなる機能改善のため、ソフトウェアを改良していくという。
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