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CT画像から肺結節検出AI、認証得て臨床で活用、順天堂大

2019年12月23日(月)

12月14日に東京都内で開催された第4回IoMTサミット(2019)に順天堂大学医学部放射線診断学講座准教授の隈丸加奈子氏が登壇し、日本医学放射線学会が取り組む画像診断ナショナルデータベース構築とAI開発について講演した。

まず、隈丸氏は放射線科医の立場から、12月1日から6日まで米国シカゴで開催された北米放射線学会(RSNA2019)について紹介した。ここ5年ほどで情報学やAI(人工知能)に関する演題が増えており、特にディープラーニング(深層学習)を活用した画像診断支援が増えている(RSNA2019については『日本で画像診断支援AI普及は202X年から?―エルピクセルCEO島原氏がRSNA2019で見た医療AI最前線』を参照)。一方の日本ではどうか。2020年4月に開催される第79回日本医学放射線学会総会では、一般演題に「人工知能・機械学習」のカテゴリーを新設するほか、研修医向けのAIセミナーを実施するという。

AIを活用した放射線科領域の画像診断支援の研究が注目を集める中で、日本医学放射線学会は日本医療研究開発機構(AMED)の事業の一環として、九州大学、岡山大学、大阪大学、鹿児島大学、順天堂大学、東京大学、京都大学、国立国際医療研究センター国府台病院、国際医療研究センター病院から、放射線画像収集を実施している(『CT・MRI画像をAIが診断支援、日本医学放射線学会がDB構築し開発支援』など参照)。データセンターには平均1日600件の画像が集まっており、年間20万件のペースでデータが蓄積しているという。

同事業に参加する研究班では、これらのデータを活用してAI開発などを行っている。隈丸氏は、AI開発の方向性として、臨床の質を担保し、医療者と患者の負担を減らすAIと、臨床にイノベーションを起こすカッティングエッジなAIと2方向があるとした。

読影レポートから緊急性を自動検出するAIも

実際行っているAI開発の多くは前者で、隈丸氏はまず、順天堂大学などの研究成果として、CT画像から肺結節を検出するAIを紹介した。医用画像でのセグメンテーションなどで使われることの多いディープラーニングのアルゴリズムである3D U-Netを活用し、CT画像から肺結節を検出、これまでの同様のAIと比べても高精度で検出できるようになったとしてRSNAでも発表した。また、医療機器プログラムとして臨床で活用するために医薬品医療機器総合機構(PMDA)の認証を今年5月に取得し、すでに実臨床で活用しているとした。今後については、「製品化し、1件当たり200円~1000円くらいで他の大学などでも使えるように検討している」(隈丸氏)という。

また、ほかには、東京大学などの研究としてCT画像からくも膜下出血の有無を自動的に判定するAI開発などについても紹介した。一方で、臨床にイノベーションを起こすようなカッティングエッジなAIの例としては、慶應義塾大学医学部放射線科助教の橋本正弘氏らの研究として、読影レポートから緊急性を自動検出するAIの開発を紹介した。これは、Googleが検索エンジンに実装したことでも話題となった自然言語処理技術「BERT」を活用し、感度0.75、特異度0.71という高精度で検出できるという。

長倉克枝

長倉克枝 m3.com編集部

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