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角膜潰瘍を治療するコンタクトレンズを開発

2019年7月17日(水)

ニューハンプシャー大学の研究者らは、角膜潰瘍を効果的に治療できるハイドロゲルを開発した。近い将来、このゲルはコンタクトレンズに使用することができるという。

角膜潰瘍は、角膜の免疫細胞の中にあるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)という、亜鉛依存性の酵素が制御不能になることによっておきる。これを防ぐために研究者たちは、これらの酵素を不活化させるために亜鉛の働きを阻害する新しいハイドロゲルを開発した。

『ACS Biomaterials Science & Engineering』に掲載された論文によると、研究者たちは、コロラド大学の研究者であるジュン・ジェ・リーとともに、このハイドロゲルがどのようにして角膜潰瘍をひきおこす主要原因であるMMP-1, MMP-2, MMP-9を不活化させるかの概要を示している。研究はin vitroおよびex vivoで行われ、この新しいハイドロゲルが角膜潰瘍の治療に対する有効な選択肢になるだろうと述べている。最終的なゴールは、このハイドロゲルをより局所的な治療が可能なコンタクトレンズにして、目以外の部分に作用が出ないようにすることだ。

「現在治療に使われているMMP阻害剤のほとんどはMMP中の亜鉛イオンと結びついて作用している」とニューハンプシャー大学の化学工学助教授であるキュン・ジェ・ジョン氏は述べる。「しかし、一旦体内に取り込まれるとMMP阻害剤は血流に乗って全身に運ばれ、深刻な副作用を引き起こす可能性がある。一方、我々が開発したハイドロゲルは局所的ゆえに全く異なった働き方をする。目の中だけで作用し、角膜から亜鉛イオンを取り除くことでMMPを不活化させる。また、何か異変を感じた場合でも、患者はコンタクトレンズを外すことで、すぐに副作用を抑えることができるだろう」。

(画像クレジット:UNH/UCD)

荒川友加理

荒川友加理

1980年、石川県生まれ。イギリス、エセックス大学で言語学を学んだあと、英会話講師に。幼児から大人までの英語教育に従事しながら翻訳の仕事も行う。翻訳分野は日本の旅館やホテルのウェブサイト翻訳、ダイバーシティー&インクルージョンにフォーカスしたニュース記事翻訳、企業のウェブサイトや会社案内動画の字幕吹き替え翻訳など。