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ロボット支援手術のスキルを解読し、トレーニング教材を開発

2018年10月11日(木)

 南カリフォルニア大学(USC)ケック医学校の研究チームは、前立腺癌のロボット支援手術における外科医の動きを評価することで、新人外科医向けの標準化されたトレーニング手法の開発に取り組んでいる。

 現在、米国の前立腺癌手術の87%は、侵襲性の低いロボットを用いた前立腺全摘出術が占めている。しかし、これらのロボットを扱う医師に対する標準化された訓練方法はまだ存在しない。

 そんな中、USCの研究チームは、手術支援ロボットに接続されたデータレコーダーを使用し、前立腺全摘出術の再建プロセスにおける熟練外科医と新人外科医の手技を分析。その結果、外科医の手術スキルの解読が可能となり、手技の分類システムおよびトレーニング教材の開発に成功した。 これらの研究の成果は、2018年10月号の「The Journal of Urology」に掲載された。現在、チームはトレーニング教材の有効性をテストしている。

 この研究ではまず、ロボットを用いた70件の手術の映像と手術中の外科医の動作を記録したデータを分析した。その結果、手術所要時間、手術器具の移動効率、およびカメラ操作において、熟練した外科医によるロボット手技の方が新人医師によるロボット手技より優れていることが判明した。また、鉗子の手ぶれや組織の外傷も熟練外科医の方が少なかったという。

 次に、鉗子を用いた14種類の手技を識別した結果、 標準化された手技と比較してランダムな手技は、より低い効率、より多くの手術器具の使用や組織外傷と関連していた。これらのデータによって、複雑な外科手術をより小さなステップに分割したトレーニング教材の開発に成功したという。

 研究チームは、「今回の研究成果により、新人外科医がスキルアップのための共通の認識を持つことが可能となるだろう。このトレーニング教材を開発するためのアプローチが将来、あらゆる種類のロボット支援手術の操作に適用できる可能性がある」と期待している。

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手術支援ロボットの前に立つ南カリフォルニア大学ケック医学校泌尿器科のDr. Andrew Hung